南堀江の歴史を紐解くと、そこには日本の都市再生における最も成功したストーリーの一つが存在する。戦後の高度経済成長期、ここは日本有数の家具卸問屋街として栄華を極めた。しかし時代の波とともに客足が遠のき、シャッターが目立つようになった1990年代後半、風向きが変わる。広いスペースと高い天井を備えた元家具店の物件が、賃料の安さも手伝って若手クリエイターたちの目に留まったのだ。
重厚な木工家具の代わりに並べられたのは、海外からセレクトされたインディーズブランドや、一点ものの古着、そして現代アートだった。古い街並みの骨格をあえて残したまま、現代のサブカルチャーを上書きしていく手法。この独特の居抜き構造こそが、無機質な商業ビルには絶対に出せない「生きた路地裏の熱量」を生み出す原動力となった。