この館が世界のアートファンを惹きつけてやまない最大の理由は、その偏りのない、しかし極めてエッジの効いたコレクションにある。「戦後日本の現代美術」「香川の漆芸」「世界の現代美術」という3つの柱は、一見すると異質に思えるかもしれない。だが、実際の展示空間に身を置くと、それらが驚くほど見事な対話を生み出していることに気づく。
特に人間国宝たちの手による讃岐漆芸作品群は必見だ。漆の幾重もの層が放つ深い光沢と、現代アートの革新的な造形思考。何十年、時には数百年の時間を超えて響き合う美意識の交差は、ここでしか味わえない。伝統を守るのではなく、常に現代の感性で更新し続けてきた高松の文化的な土壌が、作品の背後から力強く浮かび上がってくる。