大量生産のシステムキッチンに対する揺り戻しとして、日本各地の伝統素材を使ったカスタムオーダーの需要が爆発的に増加している。吉野杉や秋田杉の無垢材を贅沢に使ったキャビネットは、使い込むほどに味わい深い飴色へと変化し、時間の経過そのものを愛でる「侘び寂び」の精神を日々の暮らしにもたらす。
ワークトップ(天板)においても、かつて主流だったステンレスや人造大理石に加え、香川県の庵治石(あじいし)や栃木県の大谷石(おおやいし)といった国産天然石を採用する事例が相次ぐ。撥水コーティング技術の長足の進歩により、シミや水垢への耐性が大幅に向上したことも、本物の素材をキッチンに導入するハードルを著しく下げた。