滋賀県が誇る日本最大の湖、琵琶湖。その周辺で開催される花火大会は長年、近畿圏だけでなく全国から数十万人規模の観客を呼び寄せてきた。しかし、特定の一地点に群衆が押し寄せる構造は、駅周辺のパニック状態や周辺道路の完全麻痺を引き起こし、近年の猛暑も相まって熱中症患者の急増という深刻な課題を突きつけていた。
実行委員会が打ち出した「3都市同時打上」という構想は、まさにこの安全上の危機感から芽生えたものだ。観覧エリアを大津・草津・守山といった隣接する3つの主要沿岸部に意図的に切り分け、各会場で同規模のプログラムを展開する。これにより、これまで主要駅一つに集中していた乗降客数が大幅に平準化され、群衆事故のリスクを劇的に低減させることが可能となった。主催側が目指すのは、「誰もが安全に、ストレスなく夜空を見上げられる環境」の構築にほかならない。