エンタメの枠を飛び出し、リアルのビジネス現場や日常の人間関係においても「当て馬」という言葉はシビアな文脈で多用されている。特に企業間の調達・購買プロセスにおける「当て馬の見積もり(相見積もり)」は、実務者が最も警戒すべきリスクの一つだ。
発注側がすでに本命の取引先を決めているにもかかわらず、社内規定のクリアや本命業者への値引き圧力をかける目的のためだけに、他社へ形式的な見積もりを依頼する行為がこれに当たる。提案書を作成するための膨大なリソースと時間を無駄にしないためには、自社が当て馬として利用されているのか、正当なコンペに参加しているのかを見極める洞察力が不可欠となる。
納期の設定が不自然に短い、要望仕様が他社製品のスペックに酷似している、担当者のヒアリング姿勢が極端に不誠実であるといった兆候が見られた場合、戦略的に辞退するか、相手の意図を揺さぶるカウンターの提案を打つ判断が求められる。