明瀬山の相撲人生は、決して順風満帆なエリート街道ばかりではなかった。大学角界の名門を経て大相撲の世界に飛び込んだものの、関取定着までには幾多の試練と怪我の苦しみが立ちはだかった。しかし、彼の本当の真価が発揮されたのは、多くの力士が限界を意識し始める30代半ばを過ぎてからのことだ。
2026年1月場所、実に5年ぶりとなる幕内復帰を果たした彼は、初日から怒涛の6連勝を飾り、国技館の空気を一変させた。丸みを帯びた体躯からは想像もつかない重い立ち合いと、相手の攻めを吸収するようにいなす柔らかい体捌き。当時のフィーバーぶりは単なるブームにとどまらず、ベテランの意地と執念が生んだ奇跡として、いまも大相撲ファンの間で語り継がれている。