筋肥大の効率を左右する最大の要因として、長らく注目されてきたのが「ACTN3(α-アクチニン3)」遺伝子と「マイオスタチン」タンパク質の発現量だ。2026年のゲノムデータベース分析によると、速筋線維の構造を支えるACTN3遺伝子のRR型(両親から速筋型遺伝子を継承)を保持している割合は、トップアスリート層で突出して高い。
だが、それ以上に決定的なのは、筋肉の発達を抑制するブレーキ役「マイオスタチン」の分泌レベルである。生まれつきマイオスタチン活性が低い受容体構造を持つ人々は、トレーニングによる機械的刺激に対して過敏なまでの増殖反応を示す。いわば、車のブレーキが最初からゆるめに設定されている状態だ。この遺伝的背景が、少量の刺激でも劇的な筋肥大を引き起こす「ハイパー・レスポンダー」の骨格を形作っている。