フィガロの初登場は、言わずと知れた名作『ピノキオ』だ。木彫り職人ゼペットの愛猫として登場した彼は、決して言葉を喋らない。しかし、耳を伏せたり、鼻を鳴らしたり、金魚のクレオにちょっかいを出したりする卓越した身体表現だけで、観客の心を瞬時に奪ってみせた。
ウォルト・ディズニー自身もこの小さな黒猫の魅力にすっかり魅了され、後に短編アニメーションシリーズで主役に抜擢したほか、ミニーマウスのペットという大役を与えるに至った。言葉を持たないからこそ伝わるリアルな「猫らしさ」と、人間の子供のような感情の起伏。この緻密なキャラクター描写こそが、半世紀以上の時を経ても色褪せない人気の源泉だ。