美容医療系のSNSコミュニティ、大手掲示板、知恵袋などの相談スレッドを網羅的に分析すると、毛細血管拡張症のレーザー治療に対して「人生が変わった」と歓喜する声がある一方、「まったく効かなかった」「余計に赤くなった」という失望の書き込みも散見されます。この評価の分断はなぜ生じるのでしょうか。
実際にレーザー治療を経験した患者の手記や臨床現場でのヒアリングから浮かび上がるのは、治療回数の認識ギャップとダウンタイムへの恐怖心です。
「小鼻横のくっきりしたミミズ腫れのような血管は、Vビームを1回パチンと打っただけで消し炭のように消えて感動した」という局所的な成功体験がある一方で、顔全体に広がるびまん性の赤みを持つ患者からは、「1回受けて顔が1週間腫れ上がったのに、赤みが2割程度しか減っていない。詐欺ではないか」という不満が漏れます。毛細血管は真皮内で網目状に幾重にも重なり合って存在しているため、1回の照射で叩けるのはある深さ・太さの血管に限られます。日本皮膚科学会の臨床報告でも、びまん性毛細血管拡張症の満足度を得るためには最低でも3〜5回の反復照射が必要とされています。
また、「治療後に赤みがぶり返した」という声の正体は、破壊された血管の復活ではなく、照射をきっかけとした一時的な炎症性色素沈着(PIH)や、基礎疾患(酒さや極度の冷えのぼせ)を放置したことによる「新たな血管の新生」です。レーザーは現存する血管を壊す対症療法であり、血管が新生しやすい体質そのものを遺伝子レベルで改造するわけではありません。この事実を施術前に理解していないことが、後悔やトラブルの最大要因となっています。