ネット上で「赤磐のコストコは白紙になった」と囁かれるようになった理由はどこにあるのでしょうか。その核心は、行政や企業が一度結んだ協定を破棄したという意味での白紙ではなく、「民間デベロッパーによる構想が法制度とインフラの壁を突破できず、具体的な事業化へ移行できなかった」という構造的停滞にあります。
赤磐市議会においても、山陽IC周辺の活性化や産業団地・流通拠点の形成に関する一般質問が度々取り上げられてきました。市側の一貫した答弁姿勢は「高速道路インター周辺の利便性を活かした土地利用は重要課題と認識しているが、特定の民間量販店の進出が決定した事実はない」というものでした。
出店交渉や調査が暗礁に乗り上げたとみられる要因は、大きく分けて3点指摘されています。
第一に、「優良農地の除外(農振除外)の極めて高い難度」です。山陽IC周辺に広がる農地は、農業振興地域の整備に関する法律に基づく農用地区域に指定されている区画が多く含まれます。これを商業用地へ転用するには県や関係機関との長期にわたる協議が必要であり、食料自給や営農環境の保全を理由に容易には解除されません。
第二に、「交通キャパシティの限界と渋滞誘発への地元懸念」です。県道37号線やIC交差点付近は、平日朝夕の通勤時間帯でも混雑が発生しやすいボトルネックです。コストコが開業した場合、土日祝日には周辺数キロにわたって数千台規模の車列が発生することが他自治体の事例でも実証されています。これを受け止めるための道路拡幅や右折車線の新設、バイパス整備には数十億円規模のインフラ予算と年数が必要となります。
第三に、「多数の地権者による権利関係の調整」です。まとまった敷地を確保するためには、数十名規模の地権者全員の売却・賃貸同意を取り付ける必要がありますが、条件面や先祖代々の土地への思いなどから合意形成が難航したと推察されます。