製茶工場として使われていた歴史的建造物をリノベーションし、2015年に誕生した辻利兵衛本店 京都宇治本店茶寮。重厚な梁や柱が醸し出す陰影と、洗練されたモダンインテリアが見事な調和を見せる。外に広がる枯山水の庭園には四季折々の植栽が配され、訪れる時間帯によって刻一刻と表情を変えていく。
席に着くと、まず運ばれてくる水出し茶の澄んだ旨味に驚かされる。雑味のない甘みが舌の上に広がり、喉の奥へと静かに落ちていく。茶道が重んじる「一期一会」の精神が、空間のしつらえやスタッフの所作の端々にまで行き届いている。日常の時間軸から解き放たれ、ただ茶の芳香に身を委ねるひとときが始まる。