物語の最大の山場であり、読者の心を強く揺さぶるのが「消えたベッドの真相」です。必死の捜索の末、そらまめくんが見つけたベッドの中には、うずらの卵が入っていました。母鳥が大切な卵を温めるため、フカフワのベッドを使っていたのです。
ここで注目すべきは、そらまめくんの行動の劇的な変化です。最初は何よりも大切にしていた自分の宝物を力づくで取り返そうとはせず、「たまごに ベッドを かして あげよう」と決意します。雨の日も風の日も、ベッドのそばで見守り続けるそらまめくん。やがて無事にヒナがかえり、母鳥とヒナたちが元気に巣立っていく瞬間を見届けます。
この一連の描写は、児童心理学における「自己中心性からの脱却」と「他者への共感・利他行動の萌芽」を見事に表現しています。誰かに強制された「貸し借り」ではなく、自らの意志で他者を思いやり、見守る経験を経たからこそ、ラストシーンで仲間たち全員を自分のベッドに招き入れる大宴会へと繋がります。大切なものを独り占めしていた主人公が、仲間と心地よさを共有する歓びを知るプロセスが、本作の感動的な核となっています。