「大腸がんと肌荒れ」を調べる方の中には、すでにがんと診断され、薬物治療による皮膚の変化に悩んでいる当事者やご家族も多く見受けられます。大腸がんの薬物療法では、皮膚トラブルが顕著に出現する薬剤が広く用いられています。
特に、大腸がんの標準治療で頻用される「EGFR阻害薬(パニツムマブ、セツキシマブなど)」において、大腸がんの抗がん剤による皮膚障害・副作用は高頻度で発生します。この薬剤はがん細胞の増殖に関与するEGFRという受容体をブロックしますが、この受容体は正常な皮膚の表皮細胞にも豊富に存在しています。
そのため、薬剤が正常な皮膚の再生を妨げてしまい、投与開始から1〜2週間で皮膚の赤みや発疹(座瘡様皮疹)、乾燥、爪周囲炎などが現れるのです。これらの発疹はニキビに酷似していますが、アクネ菌による一般的なニキビとは発生機序が根本から異なります。
現代の腫瘍内科では、抗がん剤投与の開始と同時にヘパリン類似物質や白色ワセリンによる保湿、ステロイド外用薬、ミノサイクリンなどの予防的内服を組み合わせる「先制的な支持療法」が確立されており、皮膚障害を適切にコントロールしながら治療を完遂できるようになっています。