近年のベーカリー業界では、人件費削減やエネルギー効率を優先し、早朝に一括して大量のパンを焼き上げるスタイルが主流となりつつある。しかし、この店が追求するのは真逆のベクトルだ。
「お客様に『今、一番美味しい状態』を届ける」――このシンプルな理念のもと、店内にある巨大な窯からは1日に何十回も焼き上がりのベルが鳴り響く。人気商品のメロンパンも、外はサクサク、中はふんわりとした一番美味しい瞬間を逃さず提供される。効率だけを追い求めれば非合理的とも言えるこの手法が、結果として「いつ行っても焼きたてに出会える」という絶対的な信頼を顧客との間に築いている。