『ブルースカイブルー』という澄み切ったタイトルを耳にした初聴者は、初夏の爽やかな青春ソングをイメージしがちです。しかし、歌詞のテキストを注意深く読み解くと、そこに広がるのは息苦しいほどの罪悪感と破滅的な別れのドラマであることが浮かび上がってきます。
物語の核心を示す決定的な描写が、冒頭から中盤にかけて登場する「あの人の指にからんでいたゴールドの指輪」や「街の噂に追われ」というフレーズです。これらは、主人公が愛した相手がすでに家庭を持つ身であったこと、あるいは社会的な規範から完全に逸脱した関係であったことを明確に物語っています。
作詞を手がけた阿久悠は、当時の対談や自著の中で「人間の情念を描く際、あえて情景を真逆に設定することで悲劇性を極大化させる」という創作手法について度々言及しています。もしこれが雨の夜や薄暗い路地裏の別れであれば、ありふれた感傷的な失恋歌に留まっていたかもしれません。しかし阿久悠は、傷つき疲れ果てた二人の別れの朝に、冷酷なまでに美しく晴れ渡る「青空(ブルースカイブルー)」を配置しました。
自分たちの犯した罪と引き裂かれる運命を嘲笑うかのように、どこまでも高く広がる青空。その突き抜けるような青さこそが、愛を失った人間の孤独と無力感をより一層際立たせるという、天才作詞家ならではの冷徹かつ情熱的な演出意図がここに結実しています。