どれほど格式の高い神社であっても、静岡の人々にとってここは親しみを込めて「おせんげんさま」と呼ばれる生活の一部だ。
神社へと続く「浅間通り商店街」には、昭和の面影を残す老舗の和菓子店や茶舗が立ち並ぶ一方、近年では古民家をリノベーションしたスペシャリティコーヒーショップやクラフトビールスタンドが次々とオープンしている。参拝帰りの参拝客が、静岡名物の安倍川餅を頬張りながら、若手バリスタの淹れる浅煎りコーヒーを片手に歩く。そんな新旧が違和感なく混ざり合った独特のカルチャーが、この門前町には息づいている。
4月初旬に行われる「廿日会祭(はつかえさい)」の時期になれば、街の熱気は最高潮に達する。稚児舞の奉納や山車の巡行を目当てに県内外から押し寄せる大群衆は、この神社が今なお地域の精神的支柱であることを雄弁に物語っている。