「首元が少し太くなった気がする」——そんな微小な変化が始まりだった。病院を受診し、超音波や穿刺吸引細胞診といった精密検査を経て告げられたのは腺腫様甲状腺腫という診断名。悪性ではないという言葉に一安心したものの、腫瘍が数センチ大に増大していると説明を受けた時のショックは小さくない。喉の圧迫感や嚥下時の不快感が強まると、日常生活のあらゆる場面でストレスが蓄積していく。
良性腫瘍であれば経過観察という選択肢も存在する。しかし、腫瘍が気管や食道を圧迫し始める場合、あるいは外見上の変化が著しい場合には、外科的介入が強く推奨される。一生付き合っていくのか、それとも手術で取り除くのか。決断の刻は静かに迫っていた。