疑惑そのものは法的に決着したものの、この問題の裏で火を噴いたのがレッドブル首脳陣の激しい権力闘争でした。共同創業者ディートリッヒ・マテシッツ氏の逝去後、オーストリア本社派(オリバー・ミンツラフCEO、ヘルムート・マルコ相談役)と、株式の51%を握るタイのヨーウィッタ家を味方につけたホーナー氏の間で水面下の主導権争いが表面化したのです。
さらに、エースドライバーであるマックス・フェルスタッペンの父ヨス・フェルスタッペン氏が公然とホーナー氏の辞任を要求するなど、チーム崩壊の危機が現実味を帯びました。天才デザイナーのエイドリアン・ニューウェイ氏やスポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリー氏といった重鎮の離脱も、この一連の動乱と無関係ではないと見られています。
しかし、筆頭株主であるチャルーム・ヨーウィッタ氏の強烈な支持を取り付けたホーナー氏は、代表の座を揺るがすことなく死守しました。現在ではマルコ氏との関係性も表面上の沈静化を見せており、チームの全権を掌握したホーナー体制のもとで組織の再編が進められています。