アヴちゃんのボーカルを語る上で欠かせないのが、地を這うような低音から天を衝くハイトーンまでを縦横無尽に行き来する、驚異的な声域の広さだ。しかし、真の凄みはその音域の数値にあるのではない。一曲の中で幾重もの人格が入れ替わるかのような声色の変幻自在さ、繊細なウィスパーボイスから魂を絞り出すような絶叫までを一瞬で切り替える表現力こそが、聴く者を圧倒する。
それは単なる歌唱技術の誇示ではない。怒り、悲しみ、歓喜、孤独といった人間の剥き出しの感情をそのまま声へと変換する憑依的なアプローチだ。喉を酷使するリスクを背負いながらも、常に極限状態の響きを追求し続けるボーカルスタイルは、日々のストイックな鍛錬と自らの身体性を極限まで知り尽くしたコントロールによって支えられている。