物理的な拘束時間以上に施工管理を辞めたくさせる真の要因が、施工管理の人間関係とパワハラ実態です。現場監督という肩書きでありながら、実質的には建設現場における最も弱い立場として、多重の板挟み構造に苦しめられます。
朝一番の朝礼から、気性の荒い職人たちへの指示出しが始まります。20代前半の若手社員が、自らの親ほどの年齢差がある熟練の職長に対して工事の段取りや安全ルールの徹底を求めると、「お前なんかに指図されたくない」「そんな図面で収まるわけねえだろ!」と怒号が飛ぶことは日常茶飯事です。言葉遣いや高圧的な態度はコンプライアンス意識の高まりとともに軟化しつつあるものの、一度現場の信頼を失えば作業が一切進まなくなる無言の圧力は今も色濃く残っています。
さらに現場監督の上には、妥協を許さない施主(クライアント)や設計事務所、自社の所長が立ちはだかります。「工期は絶対に遅らせるな、仕様変更は無償で対応しろ、ただし追加費用は出せない」という施主の要求と、「この短工期でその作業は不可能だ」と反発する職人の間に挟まれ、両者の衝突の防波堤として矢面に立たされ続けるのです。
また、昨今注目を集める女性施工管理がきついと言われる真相についても、目を背けてはならない現実があります。国土交通省は「けんせつ小町」などを掲げて女性の現場進出を後押しし、快適トイレや専用更衣室の設置を義務付ける現場が増加しました。
しかし現場の実情を取材すると、インフラ設備の向上だけでは解消できない深刻な摩擦が存在します。「重たい機材の運搬や急勾配の足場昇降における圧倒的な体力差」「生理痛や体調不良を男性主体の現場で言い出せない密室環境」、さらには「女性監督からの指示を軽視したり、私生活を詮索したりする旧弊なジェンダーバイアス」に悩む女性技術者は依然として多く、志半ばで内勤や他業種へ転身せざるを得ないケースが後を絶ちません。