彼の名を落語の枠を超えて全国区にしたエポックメイクな作品といえば、自伝的エッセイ『赤めだか』だろう。前座時代の苛烈な修業の日々、不器用で破天荒な師匠とのやり取りを泥臭く綴った同作は、単なる業界裏話を超えた青春文学としてベストセラーとなった。
TBSテレビの特別企画として映像化された際、主人公の若き日を演じたのは二宮和也だった。圧倒的なリアリティで描かれた修行時代の裏には、密密な密着取材と指導があったという。撮影に先立ち、二宮和也は本人から立ち振る舞いや落語立川流独特の空気を直接叩き込まれた。画面越しに伝わる師弟の確執と情愛の深さは、放送当時大きな話題を呼び、今なお語り継がれる名作となっている。