ネット上の掲示板やSNSでは、海外FAに関して極めて危険な誤解が定着しています。その代表的な3つの誤謬を検証します。
第1の誤解は、「海外FA権を行使すれば、どのメジャー球団も競い合って獲得に名乗りを上げる」という思い込みです。現実は正反対です。MLB球団にとって最も魅力的なのは、「25歳ルール」をクリアした若手選手をポスティングで獲得し、最低年俸に近い額からコントロールすることです。30歳を超えた海外FA選手は年俸調停権やFA権を最初から持った完全な自由契約選手となるため、MLB球団側にとっては費用対効果がシビアに見極められます。メジャー契約が1球団からも届かず、屈辱的なマイナー契約や独立リーグ契約、あるいはNPB復帰を余儀なくされるリスクと常に隣り合わせです。
第2の誤解は、「海外FA宣言をした選手は、国内球団に移籍できない」という認識です。海外FAは「外国球団を含むすべての球団と契約できる権利」を指します。つまり、海外FA権を行使した選手が、最終的に国内の別球団に移籍することも完全に合法です。
ここで見落とされがちなのが、「海外FA宣言をしてNPBの他球団へ移籍する場合、国内FAと同様に人的補償や金銭補償が発生する」という制度の盲点です。海外FA権だから補償が不要になるのではなく、「移籍先が海外球団の場合のみ協約の管轄外となるため補償がない」に過ぎません。このルールを取り違え、「海外FAだから人的補償なしで国内のライバル球団へ強奪できる」と誤認しているファンは後を絶ちません。