日本のマイル最高峰である安田記念(東京競馬場)やマイルチャンピオンシップ(京都競馬場)と、ドーヴィルの直線マイルを同列に語ることはできない。東京の直線525.9mも十分に長いが、そこに到達するまでにコーナーを回り、位置取りの攻防を経て体力をコントロールするプロセスが存在する。
一方、ドーヴィルにはコーナーという概念がない。ゲートが開いた瞬間からゴールまで、馬は視界を遮るもののない滑走路のような空間を走り続ける。この環境は馬にとって精神的な負荷が極めて高く、折り合いを欠きやすい。日本の高速馬場で真価を発揮する「一瞬の切れ味」よりも、一定のハイペースを持続しながら失速しない「タフな巡航能力」が求められる理由がここにある。