「観光客に来てほしい気持ちはある。でも、畑を荒らされるのは耐えられない」。そう語る地元の農家の表情は暗い。ケンとメリーの木が立つ土地は、観光地である前に個人の私有地であり、現役の農地なのだ。
トラクターの作業中に観光客が突然飛び出してくる危険性や、靴の裏に付着した病原菌がジャガイモや小麦の畑に侵入するリスク。これらは農家にとって死活問題である。かつて「哲学の木」が観光客のマナー違反に耐えかねて伐採された悲劇を、地元の人々は忘れていない。同じ過ちを繰り返してはならないという強い危機感が、そこにはある。