欧州食品安全機関(EFSA)や厚生労働省が公表しているデータに基づくと、2026年現在における健康な成人のカフェイン摂取目安量は、1日あたり最大400mg以下(1回の摂取量は200mg以下)と定められています。妊婦や授乳中の女性は胎児への影響を考慮して1日200mg以下、小児や青少年の場合は体重1kgあたり3mg以下が安全域とされています。
では、人間が死に至る「致死量」とはどの程度の量なのでしょうか。法医学および臨床薬理学における一般的な見解では、成人の経口致死量はおよそ5,000mg〜10,000mg(5g〜10g)と推定されています。血液中濃度に換算すると、およそ80〜100μg/mL以上が致死域とされます。
ドリップコーヒー1杯(約150ml)に含まれるカフェイン量は約90mg、一般的なエナジードリンク1本(250ml〜355ml)には約100mg〜160mgが含まれています。純粋なドリップコーヒーのみで致死量に達するには、短時間で35杯〜50杯以上を一気に飲み干す計算になります。通常の飲用方法であれば胃の容量的にも致死量に達することは極めて稀です。
しかし、警戒すべきは「市販の眠気覚まし錠剤」や「粉末カフェインサプリメント」、そしてエナジードリンクの連続飲用です。過去の法医学鑑定や救急医学会の報告によると、日本国内でも2015年に20代男性がエナジードリンクと眠気覚まし錠剤を併用し、急性カフェイン中毒で死亡した事例が大きく報じられました。液体だけでなく高濃度錠剤を併用した場合、胃袋の物理的限界を超えて短時間で致死域へ達してしまいます。