「ご無沙汰しております」という言葉を深く理解するには、まずご無沙汰の漢字の成り立ち・語源に目を向ける必要があります。普段何気なく目にしている「沙汰(さた)」という漢字は、もともと「水中で砂利を洗い分けて、貴重な砂金を選び出す作業」を意味していました。
そこから転じて、物事の良し悪しを判断する「裁判・裁定」や、人々の間で取り沙汰される「噂・評判」、そして「音信・消息・便り」を指す言葉へと変化を遂げました。つまり、「不沙汰」とは「便りや連絡が全く途絶えている状態」を表します。
これに丁寧な接頭辞「ご」を付け、補助動詞「おる」、丁寧語「ます」を組み合わせた「ご無沙汰しております」は、単に「時間が経ちましたね」と事実を述べているわけではありません。「本来であれば連絡を差し上げるべきところ、長らくお便りもせず不義理を働いてしまい申し訳ありません」という相手への非礼を詫びる謙虚な気持ちと敬意が込められた言葉なのです。