辻調理師専門学校の校長を務める辻芳樹氏は、著書やメディアを通じて料理における科学的根拠の重要性を説き続けている。同氏の調理哲学においても、お米の加水量と温度管理は最も基本的かつ繊細な工程として位置づけられている。
失敗しない炊き方の手順はシンプルだが、徹底したポイントが存在する。
まず最初にかける水は、米が急速に吸水するため、素早く洗ってすぐに捨てること。糠(ぬか)の匂いが水に移るのを防ぐためだ。次に、指を立てて優しく全体を研ぎ、濁りが薄くなるまで数回水を替える。決して米の粒を潰してはならない。
最も重要なのが研ぎ終わった後の浸水時間だ。夏場なら30分、冬場なら最低でも1時間ほど冷水に浸すことで、米の中心部まで水分を浸透させる。この工程を怠ると、加熱時に表面だけが柔らかくなり、芯が残る原因となる。