栄養学の視点からヤーコンを分析すると、他の野菜の追随を許さない突出した数値が浮き彫りになります。農研機構や諸大学の成分分析データによると、ヤーコンの可食部100g中には約8〜10gものフラクトオリゴ糖が含まれており、これはタマネギ(約2.8g)やゴボウ(約3.6g)を遥かに凌駕する「野菜界ナンバーワン」の含有率です。
フラクトオリゴ糖は、人間の消化酵素(唾液や胃液、膵液)ではほとんど分解されません。そのため、小腸で吸収されて血中にブドウ糖として流れ込むことなく、そのまま大腸へと到達します。これが、ヤーコンと糖尿病・血糖値の関連で注目を集める決定的な理由です。
通常、甘いイモ類を食べると急激に食後血糖値が上昇(血糖値スパイク)しますが、ヤーコンの糖質は難消化性であるため、血糖値の上昇速度を示すGI値(グリセミック・インデックス)が極めて低く抑えられます。さらに大腸に届いたオリゴ糖は、ビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌の最良のエサとなり、短鎖脂肪酸(酢酸・酪酸・プロピオン酸)の産生を促進。腸内フローラを劇的に改善し、インスリン感受性の向上や脂質代謝の活性化をサポートすることが近年の臨床研究で明らかになっています。
さらに見逃せないのが抗酸化物質です。皮付近を中心に、赤ワインやコーヒーに匹敵する濃度のクロロゲン酸やカフェ酸などのポリフェノールが凝縮されています。また、塊根(食べる芋の部分)だけでなく、初夏から秋に茂る葉の部分を乾燥・焙煎したヤーコン茶の効能効果も注目に値します。ヤーコン茶には糖の吸収を遅らせるセスキテルペンやポリフェノールが豊富に含まれており、食前・食中に飲む健康茶として血糖コントロールを志向する人々に長く愛飲されています。