発達障害の一種である注意欠如・多動症 (ADHD)を抱える人々にとって、性の問題は非常に多面的な相を見せる。ハイパーセクシャリティ(性欲亢進)に傾くケースもあれば、逆に触覚過敏や注意散漫によって性的な接触自体に強い負担を感じるハイポセクシャリティ(性欲減退)に陥るケースもある。振れ幅が極めて大きいのだ。
刺激を求める脳。集中が途切れがちな意識。パートナーがムードを作ろうとしている最中に、ふと部屋の隅の埃や明日の仕事の懸念が頭をよぎる。それは相手への不満ではなく、注意の制御に関わる前頭前野の働きによるものだ。この脳の特性を理解しないまま感情論でぶつかり合えば、お互いの自尊心は傷つき、溝は深まるばかりとなる。