安倍元首相が罹患していた潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起き、びらん(ただれ)や潰瘍ができる原因不明の炎症性腸疾患(IBD)です。日本の国家指定難病(指定難病97)に定められており、重症度など一定の基準を満たすと国家指定難病 医療費助成の対象となります。
主な潰瘍性大腸炎の症状には、激しい腹痛、繰り返す下痢、粘血便(便に血や粘液が混じること)、発熱、貧血、体重減少などが挙げられます。症状が治まる「寛解期」と、再び悪化する「再燃期」を繰り返すのが大きな特徴です。重症化すると1日に20回以上もトイレに駆け込む状態に陥り、食事や睡眠すら満足に取れなくなります。
現時点で明確な潰瘍性大腸炎の原因は解明されていませんが、腸内細菌叢の乱れ、遺伝的要因、自己免疫の異常、過度なストレスや食生活の欧米化などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。根本的な完治をもたらす治療法は確立されていないものの、炎症を抑えて寛解状態を維持する薬物療法(5-ASA製剤、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤など)が治療の中心となっています。