本作が並のサスペンスドラマと一線を画すのは、古典的なミステリー映画へのオマージュを散りばめつつ、現代的なテクノロジーの死角を突いたクライムサスペンスの構造にある。特に視聴者の間で見落とされがちなのが、以下の3つの痕跡だ。
一つ目は、被害者のスマートウォッチに残された異常な心拍数データと、結希のアリバイ証明用写真のタイムスタンプのずれ。二つ目は、彼女のデスクの奥に隠されていた15年前の新聞記事の切り抜き。そして三つ目は、第1話から一貫して彼女が右利きとして描かれていながら、殺害現場の結び目だけが左利き特有の手法で施されていた点である。この不自然な不一致は、彼女単独犯行説に対する強力な反論としても機能している。