今回、本紙は主宰・演出を手がける田中円への独占取材に成功した。舞台裏で彼が語ったのは、新作『ヘラクレスの選択』にかける並々ならぬ執念と、作品の根底に流れる哲学的思索だ。「善悪の境界線に立ち、人が何を望み何を捨てるのか。それを舞台という密室で描き切りたかった」と田中円は静かに語る。
稽古場に潜入すると、ミリ単位で計算された照明と緻密な身体表現の擦り合わせが繰り返されていた。怪我と隣り合わせのアクション、そして役者の極限状態の感情を引き出す演出術。その妥協なき稽古風景こそが、奇跡のような舞台空間を生み出す源泉だ。