ドラマ『奥様は取り扱い注意』の最終話において、帰宅した伊佐山菜美(綾瀬はるか)を出迎えたのは、穏やかな笑顔ではなく、無言で銃口を向ける夫・伊佐山勇輝(西島秀俊)の冷徹な姿でした。緊迫した空気のなかで画面が暗転し、乾いた「バン!」という銃声が響き渡って幕を閉じた幕切れは、視聴者を騒然とさせました。「菜美は撃たれたのか」「勇輝は妻を裏切ったのか」という憶測が飛び交いましたが、その真相は劇場版の冒頭で見事に解き明かされます。
勇輝が放った銃弾の標的は、最愛の妻・菜美ではありませんでした。公安警察としての立場と、菜美への個人的な愛情の板挟みになった勇輝は、彼女を組織の冷酷な抹殺対象から外すため、彼女を一時的に拘束・保護し、表舞台から姿を消させる「偽装工作」を実行したのです。ドラマ版の銃声は、夫婦生活の終焉ではなく、国家権力から妻を隠匿するための危険な賭けの号砲でした。
そして物語の舞台は、地方都市・珠海市へと移ります。菜美は過去の記憶を失い「桜井久実」として、勇輝は地方創生を担う「桜井裕司」と名を変え、平穏な夫婦として潜伏生活を送っていました。しかし、新エネルギー開発を巡る陰謀とロシアの特殊工作員たちの影が忍び寄るなか、菜美の封印された記憶が覚醒します。
映画版のクライマックス、豪華客船を舞台にしたロシア工作員たちとの死闘において、二人は背中を預け合う「最強の夫婦バディ」として覚醒しました。迎えたラストシーンで、勇輝は国家への忠誠を問われ、菜美は再び単身で姿を消す選択を迫られます。しかし、物語の真の結末は、海外の異国情緒漂う街角で描かれました。偽名を使い、一般人に紛れて生きる勇輝の前に、優雅に微笑む菜美が現れます。互いの正体も任務も全て呑み込んだ上で、二人は対等な「人生の共犯者」として再び歩み出す道を選びました。この結末は、単なるハッピーエンドを超えた、究極の夫婦の信頼関係を提示しています。