「アリア」という単語の出自を調べると、必ず最初にたどり着くのがイタリア語の「aria」である。イタリア語の辞書によれば、この語はラテン語の「aer(空気・大気)」に遡り、日常会話では「空気」「そよ風」「外見・様子」といった意味で使われる。では、なぜ「空気」が音楽用語の「アリア」になったのか。この点について、複数の音楽事典や伊文学の専門家への取材によると、16世紀後半のイタリアで、単旋律の歌曲やマドリガーレの一形式を指す言葉として「aria」が使われ始めたことが起源とされている。「空気のように軽やかな旋律」という比喩が定着したという説が有力だ。
ここで押さえておきたいのは、「アリア」はイタリア語であると同時に、英語・ドイツ語・フランス語にも同綴りで取り入れられているという点だ。英語では「aria」、ドイツ語では「Arie」、フランス語では「air」や「aria」と表記され、いずれもイタリア・オペラの影響下で受容された借用語である。つまり「アリアは何語か」と問われれば、語源はイタリア語、音楽用語としては国際的に通用するイタリア語起源の専門用語と答えるのが最も正確である。