注文したメニューが届く際、小さな銀色のトレイに乗せられて運ばれてくる。珈琲の横には、必ず一杯のお水と、その上にチョコンと乗せられたスプーン。これこそがウィーンのカフェが頑なに守り続けてきた伝統の流儀だ。
かつて名作映画『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』の中で描かれたような、時間を忘れて旅人や恋人たちが語り合う情景。あそこにあった空気感が、ここ青山にも流れている。一杯の珈琲で何時間でも過ごしてよいという無言の歓迎。丁寧にお水が添えられるのは、「どうぞごゆっくりお過ごしください」という店側からの心温まるメッセージなのだ。