物語を動かす二大ヒーロー、草摩由希と草摩夾。完璧に見えて心に深い傷を負う由希と、十二支に入れなかった「猫」として蔑まれてきた夾。二人に対する透のアプローチと、そこで発せられる名言には、人間の自己肯定感を巡る本質的な真相が込められている。
特に有名なのが、「人の魅力はおにぎりの背中についた梅干しのようなもの」という比喩だ。「誰の背中にも梅干しがついているのに、自分からは見えず、他人の背中の梅干しばかりを羨んでしまう」という透の言葉は、由希と夾の心を根本から救い上げた。透は二人を比較せず、それぞれの背中にある「梅干し(独自の輝き)」をまっすぐに見つめ続けた。由希には母性的な包容力で自己承認を与え、夾には共に歩む対等なパートナーとしての愛を注ぐ。二人が呪いを超えて自分自身の人生を歩み出せたのは、透の名言と眼差しが彼らの魂に届いたからにほかならない。