文壇における彼女の飛翔を決定づけたのは、間違いなく全国の書店員による投票で選出される本屋大賞の歴史である。『流浪の月』で見せた痛切な人間愛の描写は、過剰な世間の正義感に対する鋭い問いかけでもあった。李相日監督による映画化も大きな話題を呼び、観客の心に深い傷痕と救いを残した。
続いて発表された『汝、星のごとく』(講談社)では、風光明媚な島を舞台に、自由と呪縛の間で揺れる若者たちの15年間を鮮烈に描写。本屋大賞実行委員会から2度目の戴冠を果たしたことで、名実ともに時代の顔となった。卓越したプロット構成と、感情の微細なヒダを掬い上げる言葉のセンスは、出版業界全体を大いに鼓舞している。