平壌冷麺を語る上で、玉流館と並び称される伝説的な名店が「乙密台(ウルミルダ)」だ。平壌の名勝・乙密台から名付けられたこの老舗は、太めで少しざらつきのある独自の蕎麦麺と、シャリシャリに凍らせた薄い氷スープが最大の特徴である。濃厚な肉のコクを感じさせつつも後味は極めて軽やかで、ソウルに渡った避難民たちによってその伝統が守り継がれてきた。
現在では、ソウルの麻浦(マポ)にある乙密台をはじめ、多くの名店が平壌由来の味を継承している。その波及効果は日本にも及び、東京や大阪のこだわりある名店でも、乙密台や玉流館の調理スタイルをリスペクトした本格的な平壌冷麺を提供する動きが定着した。