地理的な位置関係を整理すると、チェルノブイリはウクライナ北部のキーウ州に属する。大河ドニエプル川の支流であるプリピャチ川の河畔、湿地帯と針葉樹林が交錯する広大な土地だ。事故が起きる前のチェルノブイリは、中世からの歴史を持つ人口1万4000人ほどの閑静な田舎町だった。
しかし、実際に爆発を起こした4号炉の目と鼻の先にあったのは、別の都市だ。発電所からわずか3キロメートル北に作られたアトムグラード(原子力の都)、プリピャチである。平均年齢26歳という若きエンジニアや科学者、その家族ら約5万人が暮らしたモダンな未来都市は、事故後わずか数日で無人のゴーストタウンへと姿を変えた。