駐日米国大使公邸が位置するのは、東京都港区赤坂1丁目の閑静な一角です。すぐ隣には実務拠点である駐日アメリカ大使館が構えられており、政治・経済の中枢である永田町や霞が関にもほど近い、まさに外交の最前線と呼ぶにふさわしい立地を誇ります。
この地に大使館および公邸が整備された歴史は、大正から昭和初期へと遡ります。1923年の関東大震災によって旧公館が被災したことを受け、アメリカ政府は新たな外交拠点の大規模な建設計画をスタートさせました。設計を手掛けたのは、アメリカの著名建築家ハロルド・ヴァン・ビューレン・マゴニグルと、帝国ホテルの建設にも携わったアントニン・レーモンドです。
工事は1931(昭和6)年に完了し、当時としては極めて先進的な耐火・耐震構造を備えた近代建築として落成しました。アメリカ合衆国政府が自国で予算を計上し、ゼロから海外に建設した大使公邸としては最初期の本格的なプロジェクトであり、日米関係を重視する米政府の強い意志が込められた建物でした。