喉の違和感や強烈な悪臭の元凶とされる臭い玉ですが、医学的な正式名称は「膿栓(のうせん)」と呼ばれます。この膿栓の正体と原因は、食べかすの塊そのものではなく、咽頭の免疫組織が病原菌と戦い抜いた末の代謝産物です。喉の左右両脇に位置する口蓋扁桃(こうがいへんとう)の表面には、微細な穴や溝が無数に走っており、これを医学用語で「陰窩(いんか)」と呼びます。この陰窩の中で、剥がれ落ちた上皮細胞の死骸、白血球の残骸、口腔内に常在する数十億もの細菌群が絡み合い、固化したものが膿栓となります。
では、生涯を通じて臭い玉を経験しない「臭い玉ができない人の特徴」とは何なのか。最大の要因は、扁桃腺の陰窩と形状における先天的・後天的な個体差にあります。臭い玉が一切できない人は、扁桃の表面にある陰窩の開口部が極めて浅く、すり鉢状やスリット状の入り組んだ袋小路が存在しません。細菌や死滅した細胞が物理的に滞留するポケットが形成されていないため、垢が溜まる隙間がない構造を維持しています。
さらに、扁桃炎と免疫反応の履歴も深く関係しています。幼少期から青年期にかけて重い急性扁桃炎を繰り返した人は、炎症によって組織の破壊と修復が繰り返され、陰窩が異常に拡張したり繊維化して深い空洞(陰窩洞)が生じたりします。これが臭い玉のできやすい体質理由を生み出すのに対し、過去に扁桃炎を患った経験が少ない人は、陰窩が初期の滑らかな状態を保っており、異物を自浄作用で押し流す機能が正常に保たれています。