物語の核となるのは、栄誉と承認を追い求める表現者たちの狂気だ。主人公は自らの創作活動に行き詰まりを感じながらも、決定的な評価を求めて渇望する作家。過酷な創作の苦しみと、他者の成功に対する苛立ち。葛藤の末に辿り着いた1冊の原稿が、彼女の運命を狂わせていく。
『Prize(プライズ)』は、緻密に構成された文芸小説の骨格を持ちながら、サスペンスフルな緊張感を終始漂わせる。単に賞を狙う駆け引きにとどまらず、創作という行為がいかに人間を救い、同時に蝕んでいくかを容赦なく描いた。息をのむ展開の連続に、読者は息を殺してページをめくるしかない。
著者の村山由佳は、登場人物たちの内面に潜む見栄や劣等感、一筋縄ではいかない情念の揺らぎを、鋭利な刃物のような文章で切り出していく。そこに立ち現れるのは、あまりにも人間臭く、痛々しいほどに純粋な承認欲求の姿だ。