海に囲まれた日本列島の全貌を知るには、陸上だけでなく海底の泥や岩石を掘り進めるほかない。それを可能にしたのが地球深部探査船「ちきゅう」プロジェクトである。海底を何千メートルも掘削し、地殻のタイムカプセルであるコアサンプルを直接引き揚げるという前人未到の挑戦だ。
この分野で世界的な功績を上げたのが、海洋地質学のパイオニアである平朝彦博士だ。平朝彦博士らは、プレートの沈み込みに伴って海洋プレート上の堆積物が陸側に削ぎ落とされ、陸側に付加していく「付加体(ふかたい)」のメカニズムを実証した。日本列島の基盤岩の大部分が、実ははるか遠くの海底から運ばれてきた付加体で構成されているという真実。この発見は、世界の地質学・地球物理学の教科書を書き換える歴史的快挙となった。