大森元貴の歌声は、なぜこれほどまでに聴く者の心を揺さぶるのか。専門的な発声解析と楽曲構造から見えてくるのは、天性の素質に甘んじない計算し尽くされたボーカル技術です。
第1に挙げられるのは、4オクターブに迫る広大な音域(ローG2からhihiA以上)の自由自在なコントロールです。男性ボーカリストにとっての難所であるhiA〜hiDの超高音域を、叫びではなく響き豊かなミックスボイスで完璧に発声し、ファルセットやホイッスルボイスへと滑らかに接続します。
第2の理由は、呼気圧と声帯閉鎖の極めて高度なバランスです。ブレスのスピードや強弱をフレーズごとにミリ単位で調整し、ウィスパーボイスから力強いベルティングまでを一曲の中でダイナミックに行き来させます。『Soranji』で見せる祈るような弱音から魂の叫びへのクレッシェンドは、その真骨頂と言えます。
第3の理由は、作詞・作曲者本人が歌うことによる「言葉と旋律の完全一致」です。母音の響きやすさや子音のアタック感を計算してメロディラインが構築されているため、言葉のメッセージが一切の濁りなくストレートに耳へ飛び込んできます。