粗製乱造される軍事評論のなかで、第一線で活躍する真の専門家たちはどのようなアプローチを取っているのだろうか。例えば、東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠氏や、防衛省防衛研究所の防衛政策研究室長を務める高橋杉雄氏らの解説は、多くのメディアや実務家から絶大な信頼を寄せられている。
彼らに共通しているのは、徹底したファクトに基づく慎重な語り口だ。小泉氏はロシアの軍事思想や安全保障政策に関する膨大な一次資料を踏まえ、感情論を排した冷静な分析を提供する。高橋氏もまた、防衛省防衛研究所という安全保障研究の中核に身を置きつつ、情勢の変動に応じて自身の仮説を柔軟にアップデートしていく学問的誠実さを持っている。彼らの言動を観察すると、決して断定を急がず、複数のシナリオを提示しながら確率論として情勢を語っていることがわかる。これこそが、本物の専門家に共通する思考の作法である。