結論から言えば、科学界の見解は「完全に手遅れではないが、残された時間はきわめてわずかである」という点に収れんする。国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)がまとめたIPCC第6次評価報告書は、地球表面の平均気温が産業革命前と比較して1.5℃上昇する限界線に刻一刻と近づいていることを明かした。この1.5℃という閾値(しきい値)を超過した場合、気候システムの崩壊は加速度的に進むとされる。
国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏は、気候危機に対する各国の対応の遅れを「人類の生存を脅かす自殺的行為」と強く非難してきた。また、国連環境計画(UNEP)が公表した排出ギャップ報告書においても、各国の現行目標ではパリ協定が掲げる温室効果ガスの大幅削減には届かない現実が厳しく指摘されている。しかし、これらの報告書が真に伝えているのは「諦め」ではなく「緊急行動の不可避性」である。