従来の保険診療で作る部分入れ歯は、残っている健康な歯に金属のバネ(クラスプ)を引っ掛けて固定します。そのため、口を開けたときに金具が見えてしまうだけでなく、噛むたびに支えとなっている歯が揺さぶられ、数年でその歯までグラグラになって抜けてしまう悪循環が生じがちでした。
この根本的な課題を解決したのが、ドイツのチュービンゲン大学などで発展してきたテレスコープ義歯の仕組みです。この治療法では、残っている歯を削って金属の内冠(ないかん)を被せ、その上から入れ歯本体に組み込まれた外冠(がいかん)を精密にはめ込みます。ちょうど「茶筒のフタがスーッと吸い付くように閉まり、容易には外れない摩擦力」を利用して義歯を固定する原理です。
外側に金属の留め具が一切露出しないため、至近距離で見られても天然の歯並びと見分けがつきません。さらに重要なのは、横揺れの力を遮断し、噛んだときの強い圧力を歯の根元方向(垂直軸)へ真っ直ぐ逃がす点です。これにより、揺さぶりによる歯根破折を防ぎ、残存歯を守る入れ歯として機能的にも優れた役割を果たします。