ドイツ国内で異民族への風当たりが強まっている背景には、複合的な社会構造のきしみがあります。その震源地となっているのが、長期化する「移民・難民問題の現状」と、それに伴う経済的負担感です。
ドイツは過去10年以上にわたり中東やウクライナなどから多数の難民を受け入れてきましたが、受け入れ自治体のインフラ、学校教育、住宅供給は限界を迎えています。社会統合が追いつかないなかで治安悪化への不安が広がり、一般市民の間にも「自国民の生活が脅かされている」という不満が鬱積していきました。
この不満の受け皿として爆発的に支持を拡大したのが、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」です。反移民・排外主義を掲げるAfDは、旧東ドイツ地域を中心に地方選挙で躍進を遂げ、連邦レベルでも無視できない政治勢力となりました。彼らの過激な言説がメディアや議会を通じて日常化されたことで、社会全体において「外国人に対して公然と排他的な意見を口にしてもよい」という心理的ハードルが劇的に下がってしまったのです。
本来、難民政策と日本人留学生や観光客は何の関係もありません。しかし、排外感情が社会に充満すると、外見で明確に区別がつくアジア人は「都合のいい標的」として十把一絡げに攻撃の矢面に立たされることになります。