JR吉原駅の改札を出て連絡通路を進むと、雰囲気が一変する。木造のぬくもりをどこかに残した岳南電車の乗り場が、ひっそりと、しかし確かな存在感を持ってたたずんでいるからだ。東海道新幹線が目にも留まらぬ速さで通り過ぎる新富士駅とは対照的に、ここには昭和の時間がそのまま残されているかのような錯覚さえ覚える。
切符売り場に立つ駅員の穏やかな挨拶や、パタパタと音を立てる改札の日常。現代の鉄道が失いつつある「手触り感」がここにはある。乗り換えのわずか数分間に感じられるこの独特のゆったりとした空気こそが、日々の喧騒に疲れた現代人の心を捉えて離さない。