記述試験で1点も落とさない答案を作成するには、頭の中の処理を型化し、機械的なチェック機能を組み込んだ「途中式の書き方詳細まとめ」を愚直に実行することが最も有効です。ここでは、具体的な模範手順を4段階で解説します。
【例題】多項式 $P(x) = 3x^2 - 6x + 5$ を複素数の範囲で因数分解せよ。
ステップ1:最高次の係数 $a$ をあらかじめ答案用紙に書き留める
答案作成を始める際、まず先頭の係数 $a = 3$ を強く意識します。後から掛けようとすると確実に忘れるため、思考の初期段階で「最終形は $3(x - \alpha)(x - \beta)$ になる」と心の中で予約枠を設けます。
ステップ2:対応する2次方程式をおき、解の公式を適用する
「$3x^2 - 6x + 5 = 0$ とおくと」と宣言し、解の公式(係数が偶数の公式)を用いて方程式の解を求めます。
$$x = \frac{-(-3) \pm \sqrt{(-3)^2 - 3 \times 5}}{3} = \frac{3 \pm \sqrt{9 - 15}}{3} = \frac{3 \pm \sqrt{-6}}{3}$$
ステップ3:虚数単位 $i$ を正しく露出し、共役な複素数解を明記する
$\sqrt{-6} = \sqrt{6}i$ と変換し、2つの解を導きます。
$$x = \frac{3 + \sqrt{6}i}{3}, \quad \frac{3 - \sqrt{6}i}{3}$$
実部と虚部に分ければ $1 \pm \frac{\sqrt{6}}{3}i$ となり、互いに共役な複素数であることが確認できます。
ステップ4:公式 $a(x - \alpha)(x - \beta)$ に当てはめ、定数項で検算を行う
求めた解を因数分解の基本形に代入します。ここで係数の $3$ を絶対に忘れてはなりません。
$$3\left(x - \frac{3 + \sqrt{6}i}{3}\right)\left(x - \frac{3 - \sqrt{6}i}{3}\right)$$
小括弧を外して整理した形を最終解答とします。
$$\mathbf{3\left(x - 1 - \frac{\sqrt{6}}{3}i\right)\left(x - 1 + \frac{\sqrt{6}}{3}i\right)}$$
ここで重要なのが「5秒で終わるセルフ検算」です。それぞれの因数の定数項同士を掛け合わせ、最後に先頭の係数 $3$ を掛けたときに、元の式の定数項「$+5$」と一致するかを確認します。
$$\text{定数項の積} = 3 \times \left\{\left(-1\right)^2 - \left(\frac{\sqrt{6}}{3}i\right)^2\right\} = 3 \times \left(1 + \frac{6}{9}\right) = 3 \times \frac{5}{3} = 5$$
元の定数項 $+5$ と完全に一致しました。この逆算習慣さえ身につけておけば、係数の掛け忘れによる失点は事実上ゼロになります。